2025年11月18日火曜日

川豊本店

【場所】
千葉県成田市仲町386

【味】
成田山参道の一番人気店。割きたて・蒸したて・焼きたての身は香ばしく柔らか。脂の乗りも良く隅々にまで旨味とコクが染み渡っている。
別館や西口館とうなぎも焼き方も同じと言うが、食べ比べてみると全く違う。焼き手の違いなのか、設備の違いなのか、タレに潜らせたうなぎの数の違いなのかは分からないが、本店の蒲焼は、より野性味あふれた力強さを感じられる。
周りにも多くのうなぎ屋があるが「ここのうなぎでなければだめ」というファンも多い絶品蒲焼。

【お店】
しばらく来ていないなと思い、調べてみたら何と11年ぶり。駐車場がないことや、待ち時間が長いことから、つい別館の方ばかりに足が向いてしまったようだ。
元々は旅館であった木造三階建て入母屋造りのお店は国有形文化財。店前には常に人混みができていて、遠くからでもここが川豊だとわかる。店頭でうなぎを捌き、炭火で焼き上げる様子に、否が応にもテンションが上がる。

【値段】
特上6200円(税込)
直近訪問日 2025.11.18

【おすすめ度】
★★★★★

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川豊西口館(2020.3.21)
川豊別館(2023.8.22)



2025年11月7日金曜日

うなぎ屋 江戸名代亜門 千葉店

 【場所】
千葉県千葉市中央区中央3−15−13

【味】
海外で養殖しているとは言え使用しているのはニホンウナギ。身厚で柔らかく適度に脂も乗っている。タレは甘く濃厚だが付け合わせの山葵とネギによりさっぱり目にも味変することもできる。焼きは機械焼と思われ、香ばしさは今ひとつ。
老舗のような奥深さは感じられないが、価格を考えれば充分に美味しい蒲焼。

【お店】
仕入れや店舗運営を徹底的に効率化し、本格うな重を格安で提供するという、最近よく目にするタイプのお店のひとつ。総本店は文京区根津で、千葉店は2025年1月に全国9番目の店舗としてオープンした。
外観からはわからないが、とにかく奥に広い。入口を入ると、二人席テーブルと四人席テーブルが並び、中程に個室風に仕切られたテーブル席、奥にはカウンター席が設けられ総席数は50席程度。白木を基調とした綺麗でカジュアルなお店。

【値段】 
うな重並セット 2050円(税込)
(直近訪問日 2025.11.7)

【おすすめ度】
★★★☆☆



2025年10月24日金曜日

有楽町 うなぎのお宿

【場所】
東京都千代田区丸の内3−6−9

【味】
平日ランチの限定メニュー「つつじ御膳」には、うな重に白焼と温泉卵の小鉢、漬物、サラダ、肝吸、デザートが付いてとても豪華。
身は厚く大きめで、適度な弾力を残しつつも柔らかく焼き上げられている。香ばしさも脂の乗りも申し分ない。
タレは都心のお店には珍しく甘く濃厚。身にしっかりと染み込んでいて食べ応え充分。場所柄、お酒に合うよう工夫されているものと勝手に想像するが、うな串や一品料理に加えお酒の種類も豊富で、“うな呑み”にも最適であることから、あながち間違いでも無さそう。

【お店】
静岡県で鰻問屋を営む「駿河淡水株式会社」の直営店。虎ノ門と新橋にも店舗を展開している。
場所は有楽町高架下。レトロで賑やかな夜の雰囲気とは対照的に、日中は薄暗く怪しげ。
アーケードをくぐると少し先に見える大きな提灯が目印。店内は昭和の居酒屋といった雰囲気。テーブル席とカウンター席で合計で30席程と広くはないが、店外には飲屋街らしくテラス席も設けられていて開放的。
一人客も多く、気楽にうなぎとお酒を楽しむことができる。

【値段】 
つつじ御 上 4800円(税込)
(直近訪問日 2025.10.24)

【おすすめ度】
★★★★☆



2025年8月26日火曜日

色川

【場所】
東京都台東区雷門2-6-11

【味】
うな重は「普通」と「たっぷり」の二種類。ここは迷わず「たっぷり」を選択。
蓋を開けると一尾半のうなぎが隙間なく敷き詰められ、紀州備長炭で焼き焦がされたタレの香りが食欲をそそる。
小ぶりで締まった細身のうなぎを使用。ちなみに江戸時代には小さいうなぎや穴子を「めそっこ」と呼び、さっぱりとした味わいを殊更好んだそうだ。
身は程よい柔らかさで、口溶けも絶妙。あっさりとした味付けは、うなぎ本来の甘味と旨味そして風味を一層引き立てている。文句なしの絶品蒲焼。

【お店】
創業は文久元年1861年。同じ浅草の初小川、駒形前川とともに「三川」と呼ばれている。予約を受けない硬派なお店で、日々行列が絶えない。平日のこの日は開店30分前に並んで一番客となったが、開店と同時に席は全て埋まってしまい、数人は中に入れず待ちとなっていた。
店内は昭和初期にタイムスリップしたかのような風情が漂い、カウンター4席とテーブル2卓で総席数は12席。とても狭く隣の人と肘がぶつかりそう。
六代目の名物ご主人が他界され、現在は奥様と娘さんが暖簾を守っている。二人で切り盛りしているため細やかな接客はできないが、娘さんは威勢が良く英語も堪能で感じが良い。

【値段】 
たっぷり 5500円(税込)
(直近訪問日 2025.8.26)

【おすすめ度】
★★★★★




2025年8月6日水曜日

鮮魚 魚豊

【場所】
大阪府大阪市中央区日本橋2-11-21

【味】
この日の鰻は三河産。腹開きにした頭付きの身は中々の大きさ。これを鉄串に刺し、時々水を吹きかけながら備長炭上で丁寧に万遍返しを行い、程よく焼き色がついたところで銅鍋のタレをお玉でドバドバと流しかけ、再度焼き上げていく。
市場の魚屋がサービスで提供しいるものなので、出来栄えは職人がいる専門店のものとは比較できないが、ご年配のお母さんが目の前で焼き上げてくれる蒲焼は、まさにプライスレスな味わいであった。

【お店】
大阪の台所「黒門市場」アーケードの脇で85年にわたって営業を続ける鮮魚店。
ご年配のお母さんが、軒先で大振りのうなぎを豪快に焼き上げる動画が、海外で大バズりしているらしく、平日にもかかわらず うな丼を求める外国人で人だかりが絶えない。
うな丼は市場内のインフォメーションセンター内で食べることができる。
気温40度近い猛暑の中、軒先でうなぎを焼き続けるのは相当な重労働に違いないが、ご年配のお母さんは「趣味だからやってられる」と微笑んでいた。

【値段】 
うなぎ丼ハーフ 2500円(税込)
(直近訪問日 2025.8.6)

【おすすめ度】
★★★☆☆






2025年8月4日月曜日

美登利

 【場所】
京都府京都市南区西九条東比永城町14-16

【味】
京都の鰻屋は初訪問。蒸さない関西風の地焼きで表面はサクッと焼き上げられている。身には甘めのタレがよく染み込んでいて、粒が立ったご飯との相性も良い。
美味しい蒲焼であるが、残念なのはうなぎの量。うな丼最上級の松でも半身を3分割しただけとははさすがに寂しい。もし次に来る事があるとしたら、コスパは度外視で二段のうな重を選択したい。

【お店】
京都の名刹 東寺から徒歩10分弱の静かな住宅地に佇むお店。創業約70年とのことだが、現在の店舗は新しく綺麗。テーブルとカウンターで30席ほど。2階には座敷もある模様。レジ横には数々の芸能人のサインが飾られていて、中々の有名店らしい。
とても愛想の良い三代目の店主は、京都の老舗料亭「瓢亭」で修行を積んできたのこと。

【値段】 
うなぎ丼(松)うすすめセット 4300円(税込)
(直近訪問日 2025.8.4)

【おすすめ度】
★★★☆☆











2025年7月17日木曜日

美國屋

 【場所】
東京都中央区日本橋2-5-1

【味】
注文したのは二段重。本来はうなぎとご飯が別々のお重に分けられてお重が二段になっているのだが、これを一緒にした「乗せ」にしてもらう。
この日のうなぎは愛知県一色の「三河鰻咲」。
とろける程柔らかく、最初はあっさり優しい味だが、ほのかな香ばしさと共に脂の甘味と旨味が後から追いかけてきて、豊かなコクが口中に広がる。江戸前流の奥深さを感じさせる絶品蒲焼。
戦後の日本を代表する写真家 土門拳が「日本一」と評するのも頷ける。

【お店】
創業は明治26年。戦後に日本橋に移転し「荒れ果てた日本が再び美しい国になるように」との願いを込めて、屋号も美國屋に改めたとのこと。
現在も当時と同じ場所にあるのだが、一帯の再開発によって、日本橋高島屋新館の一階に組み込まれる形で営業を続けている。店内はテーブル席のみで50席程度。シンプルかつカジュアルな雰囲気で気張らずに食事を楽しむことができる。
またコスパも優れており、最も高額な二段重が4500円、うな丼は2300円で提供している。高級うなぎ店がひしめく界隈にあって、並々ならない営業努力が窺える。

【値段】 
二段重 4500円(税込)
(直近訪問日 2025.7.18)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年4月30日水曜日

鰻家小佐田 成田本店

【場所】
千葉県成田市北須賀1699

【味】
琥珀色に焼かれた身はとても美しく食欲をそそる。お箸を当てるだけでスッと切れるほど柔らかい。
これだけで期待は高まるが、一口食べると何か足りない。味付けが薄いのは良いのだが、後から旨味が追いかけてこない。タレの追加で味は濃くはなるが、身から溢れ出てくる深みのあるコクがあまり感じられない。口コミの評判も良く、お客も多いので、完全に個人の好みの問題になるのだが、自分には少し物足りなさを感じる一品であった。

【お店】
成田の宗吾参道は、多くのうなぎの名店が点在することから、うなぎ街道とも呼ばれている。その中のひとつである「甚平茶屋」が閉店となり、昨年オープンした新しいお店。居抜きのため建物はそのままで熊やイタチ等の剥製も昔のまま飾られている。
平日にもかかわらず店前の駐車場は満車で、脇の広場の駐車場を使わせてもらう。店内も高齢者や女性客を中心に中々の賑わい。鰻重の他には「いくら重」も推しのようだ。
若い店員が多く接客も丁寧で心地良い。精算後に、前回の来店から1ヶ月以内は500円、1ヶ月以上の場合は300円引きの割引券がもらえる。

【値段】 

鰻重福(特上) 3500円(税込)
(直近訪問日 2025..04.30)

【おすすめ度】
★★★☆☆



2025年3月7日金曜日

うなぎの寝床

【場所】
千葉県千葉市中央区新田町25-1

【味】
特上は肉厚うなぎが丸々2尾分。その圧倒的なビジュアルに目が眩む。本日のうなぎは鹿児島県産とのこと。甘く濃厚なタレをたっぷりと纏った身はふっくら柔らか。噛むほどに炭焼の香ばしさと溶け出す脂の旨味が口内に広がる。多古米にもタレが良く馴染んでいて食べ応えは充分。
コスパに優れた野性味溢れる美味しい蒲焼。

【お店】
千葉駅と千葉みなと駅の中間、大通りからは少し外れた閑静な住宅街に佇む新しいお店。オープンは2023年9月とのことで、立派なケヤキの一枚板看板が目印。元々は寿司屋だったそうで、L字のカウンターが8席、座敷席と個室も備えており店名とは異なりまあまあの広さ。
うなぎ料理の他に刺身や天ぷら等の定食もある。お酒や一品料理も充実していて居酒屋としても利用できる。

【値段】 
うな重特上 5500円(税込)
(直近訪問日 2025.03.07)

【おすすめ度】
★★★★☆




2025年2月23日日曜日

川千家(千葉県旭市)

【場所】
千葉県旭市二3346-1


【味】
6年半ぶりの訪問だが美味しさに変わりはない。
ふっくらしていて口の中でとろける柔らかさと きめ細やかさは、まさしく葛飾柴又「川千家」の蒲焼。そして脂は多めで濃厚であるにもかかわらず不思議と後味あっさりなところは「坂東太郎」の特徴なのだろうか。
ご飯は地元千葉県が誇る多古米を使用。粒が立っていて蒲焼とは好相性。
ちなみに蒸さない地焼も選択できる。こちらも地焼きとは思えない程柔らかく、程よい香ばしさも同時に堪能することができる。

【お店】
店内はカウンター5席とテーブル4つ。田畑に囲まれた田舎の鰻屋といった風情のあるこのお店は、あの東京都葛飾区柴又の老舗「川千家」唯一の暖簾分け店であり、なおかつ究極のブランドうなぎ「坂東太郎」を使用しているすごいお店である。
しかも坂東太郎が1尾で3150円という驚愕の安さ。6年半前からほとんど値段が変わっておらず、並々ならぬ営業努力の後が窺える。
接客も丁寧かつ親切で気持ちの良いお店。

【値段】 
うな重特上(写真)  4350円(税込)
(直近訪問日 2025.02.23)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年2月19日水曜日

勝花

 【場所】
千葉県浦安市猫実1-3-33

【味】
これまでに何度となく訪れているが、決して飽きる事なく 行く度に新たな感動を与えてくれる。
身はふわっと柔らかいが、焼きが浅い訳ではなく 丁寧にしっかりと焼き上げられている。この絶妙な焼き加減によって、良質な脂を閉じ込め、濃厚で深みのある旨味を引出している。それでいてクドさを全く感じさせないのは、まさしく職人の技の結晶。
うなぎの素材、焼き加減、タレの味付けなど全てが高いレベルでまとまっていて 非の打ち所がない完璧な蒲焼。

【お店】
地元という事もあり、個人的に最も多くの蒲焼を食べているお店。年に2〜3回程度だが、年数を重ねているので結構な回数になっていることだろう。
創業は昭和50年とのこと。店内は数年前にリニューアルされて綺麗で広々。かつてはドブ川のようであった目の前の境川も綺麗に整備され、ロケーションも悪くない。

【値段】 

特上4300円
(直近訪問日 2025.02.19)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年2月1日土曜日

赤坂ふきぬき 成田店

【場所】
千葉県成田市仲町361

【味】
待つこと30分。蓋を開けると琥珀色の美しい照りを纏った1尾半の蒲焼が、ご飯を覆い隠している。
炭火で丁寧に焼き上げられた身は肉厚でふっくら香ばしい。脂も良く乗っているが後味は軽やか。
タレは甘からず辛からず、うなぎの旨味が丁度良い具合に感じられる。ご飯も粒立ちが良く私好み。
バランスの良いとても美味しい蒲焼。

【お店】
創業100年余の赤坂の名店が、うなぎ超激戦地の成田山参道 それも大人気店「駿河屋」の真正面に新店舗をオープン。
店内は4人掛けテーブル席2卓とカウンター7席。この辺りのお店としてはかなり小規模だが、空間を広く取り、銘木の一枚板のカウンターと間接照明、琴の音が高級感と厳かな空気を醸し出している。
大箱で古風な大衆店が多い周囲の老舗とは差別化が図られている。この地域が相乗効果により「うなぎの街」として更に発展することを期待したい。
ちなみに「ふきぬき」は「富貴貫」と書き、高貴でそれを貫くという意味だそうだ。

【値段】 
うな重松 6700円(税込)
(直近訪問日 2025.02.01)

【おすすめ度】
★★★★☆




2025年1月4日土曜日

つるや

【場所】
東京都台東区浅草1-33-2

【味】
注文してから15分程度で配膳。蒲焼にしては早過ぎだが、お客も多く見込みで調理していると思われる。身は柔らかく脂も乗っていてトロッとした食感。タレはあっさりで川魚の旨みと香りを堪能することができる。ご飯は少なめ。
美味しい蒲焼は数多くあるが、「こういうのでいいんだ」と思わせる奇をてらわないシンプルな正統派の江戸前流蒲焼。

【お店】
松屋浅草から程近く、賑やかな新仲店通りの入口付近に軒を構える うなぎと天ぷらのお店。店頭の食品サンプルのショーケースが昭和を感じさせる。創業90余年、浅草うまいもの会加盟の老舗。小説家の永井荷風が通ったお店としても知られている。
1階2階はテーブル席と小座敷、3階は座敷となっており、少人数から団体まで幅広く利用できる。

【値段】 

上鰻重 5280円(税込)
(直近訪問日 2025.01.05)

【おすすめ度】
★★★★★




2024年11月20日水曜日

躻(うつけ)

【場所】
東京都中央区日本橋横山町1-4

【味】
うな重マウンテンを注文。溢れんばかりに積み上げられたうなぎを、どこからどう食べて良いのか途方に暮れる。もはや蓋としての役割を果たしていない重箱の蓋に一旦うなぎを退避してから、4枚の半身を1枚ずつ頂くことにする。
愛知県の鰻問屋から直送されてきたうなぎを蒸さずに地焼きするのだが、その工程が独特。まず捌いたうなぎ一尾をそのまま焼いて重ね置き、注文に合わせて半分にカットしてから串を打って再び焼き上げる。効率を重視した流れ作業だが出来は悪くない。
若干焦げの苦味が気になるが、サクッと香ばしく、脂も程よく乗っていて旨味も充分。きめ細やかさは感じられないが、豪快に蒲焼を食い尽くしたい時にはおススメの一品。

【お店】
周囲の景観に溶け込んだやや古めのビルの1階と2階がお店。平日の開店直前で待ち客は10人程と中々の人気店。
店内はコンクリート打ちっぱなしの素朴な装い。カウンター席中心の1席はほとんどが一人客。複数人客は2階のテーブル席に案内されていた。注文は今どきのQRコードからで少し面倒。
昼間はうな重やひつまぶし等のうなぎ料理が中心。
うなぎの上にウニ、いくら、カニ等の海鮮を載せた「うつけ丼」も推しのひとつ。夜はおつまみも増えて居酒屋風になるとのこと。

【値段】 

うな重マウンテン 4950円(税込)
(直近訪問日 2024.11.20)

【おすすめ度】
★★★★☆


2024年11月14日木曜日

小暮や

【場所】
千葉県我孫子市天王台4-2-22

【味】
うな重は、上や並などの区分はなく一種類のみと中々硬派なお店。注文を受けてから捌き始めるので時間はかかる。
この日のうなぎは静岡産「イソフラボン鰻」。養殖鰻はほとんどがオスになるそうだが、餌に大豆イソフラボンを入れる事で、身厚で柔らかく旨味成分も豊富なメスの鰻になるらしい。うなぎ界ではノーベル賞級の発見と話題になっている模様。
紀州備長炭で丁寧に焼き上げられた身は真綿のように柔らかく、ふわっとした食感にもかかわらずしっかりとした深みのある旨味が口いっぱいに広がる。脂の乗りは良いが不思議とクドくはない。
残りわずかになると食べ終わるのが悲しくなる絶品蒲焼。

【お店】
水質の悪さで知られる手賀沼も、かつては水が澄み当時「あお」と称されたうなぎは美味で知られていたそうだ。現在でも多くの鰻屋が点在し、その中でも小暮やは評価が高く、グルメサイトのランキングでも常に上位という県内屈指の名店である。
JR天王台駅から徒歩5分程。駐車場は店前と脇とで計8台分。店内はスッキリ綺麗で、テーブル席が10人分、小上がりに4名卓が2つ。カウンターも3席あるので一人客も気まずさは感じなさそう。
行列を覚悟していたが、平日のためか開店直後で先客は3組。帰る頃には満席になっていた。
有名店ではあるが堅苦しさはなく、気軽に利用できる素晴らしいお店。

【値段】 

うな重(肝吸 新香付)3740円(税込)
(直近訪問日 2024.11.14)

【おすすめ度】
★★★★★



2024年10月20日日曜日

富貴亭(ふきてい)

【場所】
千葉県佐倉市鏑木町2-7-5

【味】
蓋を開けると身厚な蒲焼がまるまる一本。四万十産の養殖うなぎ使用していること。タレの照りと焦げ目が食欲をそそる。箸を入れると皮目には若干弾力が感じられるものの十分に柔らかい。身は香ばしく焼かれていて、甘く濃厚な溜まり醤油系のタレの馴染みも良い。太者うなぎではあるが大味ではなく繊細。余分な脂は落とされ旨味が凝縮された美味しい蒲焼。

【お店】

チェーン店が立ち並ぶ国道296号線沿いにこぢんまりと佇む一軒家のようなお店。玄関で靴を脱いで上がる。店内も民家を改装したような素朴な造りでとても綺麗。2019年9月にオープンしたとのこと。テーブル席を中心に個室も完備されている模様。
駐車場は軽自動車4台分しかないが、隣の焼肉屋と同じ経営らしく、そちらも利用できる。

【値段】 
一本重 5060円(税込)
(直近訪問日 2024.10.20)

【おすすめ度】
★★★★☆


2024年8月22日木曜日

登三松(とみまつ)

【場所】
東京都中央区銀座3-13-2

【味】
注文してからの調理時間は10分程。ある程度作り置きしたものを焼いてから提供していると思われるが味は悪くない。しっかりと深めに蒸されており、ふっくら柔らかい。余計な脂も落とされて、適度に残された後味のよい良質な脂がコク深い旨味を引出している。タレは多めにかかっているが、スッキリ薄味でうなぎ とご飯に馴染んでいる。
素朴で昔懐かしの美味しい蒲焼。

【お店】

戦後の混乱期に都内で百円うな丼を販売し、蒲焼を庶民に広めた「登亭」が経営するお店。他の3店舗と異なり登亭の名称は使っていない。

店内は二人掛けのテーブル10卓とこぢんまり。長居はせずサッと食べてパッと帰る客が多く回転は良い。レジ横にはテイクアウト客用に弁当が並べられていたので、会計時に思わずそちらも購入。夜の楽しみとする。

余談だが30年以上前、当時私が勤めていた会社の営業所の直下階に株式会社登亭の営業本部が入っていた事もあり、とても親近感の湧くお店。


【値段】
うな重 竹 4000円(税込)
(直近訪問日 2024.08.22)

【おすすめ度】
★★★★☆

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2024年8月12日月曜日

花むら

 【場所】
千葉県成田市東町85-16

【味】
身厚で食べ応えのあるうなぎは三河一色産とのこと。蒸してから焼く関東風だが、蒸しは浅めで程よい食感を残しながらも柔らかく丁寧に焼き上げられている。
脂も適度に残されていて、甘く粘度のあるタレと相まって、香ばしさと旨味が口中に広がる。味付けは濃厚だが後味は意外とサッパリな美味しい蒲焼。

【お店】

鰻と京懐石のお店。成田山公園裏手の静かな住宅街に佇む数寄屋造は高級旅館を思わせる。

案内された個室は10畳の和室で枯山水の庭付き。家族3人で贅沢に使わせてもらう。とても静かで小鳥のさえずりが心地よい。

運ばれてきた重箱の蓋の上にはミニひまわりが一輪。料理にはその季節に合った花を添えて提供しているのだそうだ。粋なもてなしにお店の品格が感じられる。


【値段】
国産うな重 4950円(税込)
(直近訪問日 2024.08.12)

【おすすめ度】
★★★★☆





2024年7月14日日曜日

那古野しば福や

【場所】
愛知県名古屋市中村区名駅3-23-1

【味】
ワイルドに焼き上げられ 美しく並べられた蒲焼は、見た瞬間にその美味しさが確信できる。
うなぎ重には他のメニューよりも質の良い大振りな青うなぎを使用しているとのことで、甘ダレをたっぷりとまとい強力な火力でサクッと焼き上げられた身は柔らかく、豊かな脂の甘味は旨味に変わっていく。とても美味しく仕上がっている。
しかし、この脂とうなぎのボリューム(写真ではわかりづらいが二重になっている)、そして名古屋特有の濃厚な味付けが、食べ始めこそ感動ものだが、二日酔いの身には後半は少しばかりキツくなる。名古屋蒲焼をいただく時は、その量と体調に注意したい。

【お店】

老舗の多いうなぎ屋業界にあって、本店の「しば福や」は創業平成30年ととても新しいお店だが、創業の翌年にはミシュランガイド・ビルグマンに認定された実力店である。「那古野(なごや)しば福や」は今年(令和6年)にオープンしたばかりの2号店。客席数が本店の2倍の約80席で名古屋駅からも近いという事で、今回はこちらを選択。

開店直後に早くもテーブル席と座敷は埋まってしまったそうだが、10席程あるカウンター席には空席があり即入店。カウンター前の焼場を見るとメディア等によく登場する店主の柴田氏が、豪快に腕を振るっており、いやが上にもテンションが上がる。

店内は白木が際立つ和モダンな雰囲気。店員さんは多少バタついてはいたが、接客も悪くはない。


【値段】
うなぎ重 5500円(税込)
(直近訪問日 2024.07.14)

【おすすめ度】
★★★★☆



2024年7月13日土曜日

しら河 名駅店

 【場所】
愛知県名古屋市西区牛島町6-24

【味】
皮目は香ばしくパリッと焼き上げられ、身からは豊かな旨味とコクが溶け出してきてとても美味しい。薬味と海苔で味変すると、濃厚さが和らぎ これはこれでまた良い。
しかし、やはりお茶漬けだけはいただけない。そもそも出汁と蒲焼との相性が良くない。せっかくのサクサク感とコクを台無しにしてしまう。個人的には、ひつまぶしを食べる時は、そのままと薬味を交互にいただくのがベスト。完成された「蒲焼」に余計な食べ方は不要であると改めて気付かされる。


【お店】

本店の創業は昭和28年。名古屋を代表する老舗で、市内に4店舗を構える。名駅店は名古屋駅から5分程離れたビルの1階にある。

開店15分前に「当日WEB順番待ち」を利用。開店後数分で呼び出しとなる。多くの待ちの客がいる中、一人客にもかかわらず座敷席に案内され、とても丁重な対応を受ける。そういった気配りにも名店の品位が感じられる。


【値段】
特上ひつまぶし5600円(税込)
(直近訪問日 2024.07.13)

【おすすめ度】
★★★★☆






2024年6月8日土曜日

満寿家

【場所】
埼玉県さいたま市浦和区岸町7-1-3

【味】
紀州備長炭でじっくりと燻された香ばしさと、味醂の甘味が効いたタレをまとった身は、適度な歯応えを残しながらもふっくらと焼き上げられている。
脂味も適度に残されていて食べ応えも有り。良い意味で昔ながらの素朴な蒲焼。
山椒は粒と粉の2種類。粒は香りと刺激が強過ぎで、個人的にはスッキリとした粉がおすすめ。

【お店】

江戸時代より宿場町として栄えた浦和は、かつては良質なうなぎも多く生息する水郷地帯であった。現在でも「浦和のうなぎ」はさいたま市伝統産業に指定されている。
満寿家(ますや)の創業は明治21年。高級割烹を思わせる威風堂々とした佇まいと伝統の味で、長年にわたり浦和の人々の「ハレの日」のお店として親しまれてきたそうだ。
総席数は170を超える大箱。テーブル席、カウンター席の他、大小個室や広間も備えている。
ゆっくりと腰を据えて食事を楽しむことができるお店。

【値段】
特上 5650円(税込)
(直近訪問日 2024.06.08)

【おすすめ度】
★★★★☆



 

むさし乃

【場所】
埼玉県さいたま市浦和区東高砂町8-3

【味】
宮崎県佐土原産のブランド鰻「和匠」。その中でも養殖1年以内の成長の早い新仔のみを使用しているとのこと。注文してからの調理時間は40分程度。
身に箸を入れても抵抗がほとんど感じらない。これ程柔らかな蒲焼は、今まで出会ったことがない。この身を崩す事なく焼き上げるのは、相当な技量が必要であろうと思われる。口に入れると噛まなくてもとろけて脂の旨みがほんのりと広がる。タレはあっさりとした辛口。うなぎ本来の風味をしっかと際立たせている。

【お店】
浦和は、うなぎの蒲焼発祥の地と言われており、多くの老舗うなぎ店が点在する。
その浦和の中でも最高峰との呼び声も高い名店。行列必至のお店として知られている。
開店1時間前に現着するが既に7人が入店待ち。店が入っているマンションの通路に椅子が30脚程並べられているため待つのは楽。しかし、開店30分前にはその椅子も既に埋まってしまい、後は路上で立ち待ちとなっていた。
この日は20分ほど前倒しで開店。店内は2人用テーブルが6卓とカウンターが6席。限られたスペースと人員で多くの客をさばかなくてはならず、店員さんも無駄な動きがなく、キビキビと動いている。
外には待ち客も多く、長居はせず サッと食べてパッと帰るのが粋であると思われる。

【値段】
新仔鰻重 5830円(税込)
(直近訪問日 2024.06.08)

【おすすめ度】
★★★★★




 

2024年5月3日金曜日

福家

【場所】
神奈川県横浜市中区野毛2-97

【味】
柔らかく程よく脂の乗ったうなぎは三河一色産。香ばしく丁寧に焼き上げられており、口溶けも良い。

昭和6年の創業時から継ぎ足しているというタレは、醤油が強く辛めではあるが、これはこれでお酒によく合って結果オーライ。

一品料理では、茹でた肝をわさび醤油でいただく「肝わさ」も堪能できる。


【お店】

桜木町駅の南側「野毛」。横浜随一と言われるディープな飲み屋街には似つかわしくない落ち着いた家庭的なお店。この辺りでもフグの事を「ふく」と呼んでいたらしく、店名から元々はフグ屋だったのだろうと勝手に想像しているが、現在はうなぎを中心にフグやどじょうを扱っている。

店内1階は、カウンター4席にテーブル2卓とこじんまりとしている。2階は座敷で、ちょっとした宴会も出来るらしい。

穏やかで感じの良い女将さんが切り盛りしていて、とても居心地のよいお店。


【値段】
4200円(税込)
(直近訪問日 2024.05.03)

【おすすめ度】
★★★★☆










2024年2月4日日曜日

粉名屋(こなや)

【場所】
千葉県成田市仲町389

【味】
お重に敷き詰められた一尾半のうなぎ。焦げ目の香ばしさが食欲をそそる。箸からは肉厚な身の弾力が微かに伝わるものの、口に入れるとふんわりと柔らかく口溶けも良い。タレは甘さ控えめのあっさり辛口だが、身から滲み出る甘味と旨味と相まって、とても豊かなコクを感じさせる。ほんのりと川魚の上品な風味も感じられる絶品蒲焼。


【お店】

成田山門前通りのうなぎ屋がひしめく一角のお店。リニューアルしたばかりの一階は、通りと店舗を隔てる仕切りのないオープンエアなテーブル席でペットも同席できる。二階は昔ながらの老舗感のある座敷席。どちらも通りの賑わいを感じながらも落ち着いて食事を楽しむことができる。
店内は比較的空いていて、近隣の超有名店のように入店まで何時間も待つことはないが、味はこれらに決して引けを取らない美味しいお店。

【値段】
特上うな重 5500円(税込)
(直近訪問日 2024.2.4)

【おすすめ度】
★★★★☆

2023年11月12日日曜日

小柳

 【場所】
東京都台東区浅草1-29-11

【味】
香ばしく焼き上げられた身は、箸を当てるだけでスッと切れる程柔らかい。一口運んだ瞬間は、あっさりとした味付けに感じるが、噛む程にうなぎ本来の旨味と甘味がじわりと広がり、コクのある深い味わいに変わっていく。うなぎを知り尽くした職人が長年培ってきた焼きの技術の賜物と思われる。
後味も素晴らしく、この豊かな余韻を薄れさせたくなくて食後のお茶を飲むのもためらわれるほど。
老舗有名店にもかかわらずコストパフォーマンスにも優れた絶品蒲焼。


【お店】

賑やかな仲見世通りの西に平行する浅草中央通りのお店。入口の松と柳の植え込みが出迎えてくれる。創業は大正15年(1926年)でもうじき一世紀を迎える老舗。場所柄から多くの大御所歌舞伎役者も通うという有名店。
注文から10分ほどで提供されるが、来客が絶えないことから、作り置きではなく、見込みで次々と捌き、焼き上げているものと推察される。
休日は行列必至だが、1階のテーブル、カウンター席に加え、2階には座席席もあり、待ち時間はそれほどでもないと思われる。。

【値段】
鰻重松 3850円(税込)
(直近訪問日 2023.11.12)

【おすすめ度】
★★★★★






2023年8月30日水曜日

美濃金 神田本店

【場所】
東京都千代田区外神田6-14-3

【味】
ひつまぶしが推しのようだが、初めてのお店なのでまずはうな丼を注文。身がとても厚く脂も程よく乗った良質なうなぎは愛知一色産とのこと。「美濃地焼き」という手法でパリッと香ばしく焼かれ、甘く濃厚なタレを纏った身は野生味に溢れ、硬めに炊かれた「美濃ハツシモ米」とともに、瞬く間に口中に消えて行く。岐阜県産にこだわったとても美味しい蒲焼。うな丼には香の物とお吸物のほか玉子焼きとうざくが付いてくる。

【お店】
木曽三川の清流に恵まれた岐阜の名店「美濃金」の東京初進出店。
2022年10月にオープンしたばかりの店内は高級感漂う落ち着いた雰囲気。カウンター4席、テーブル18席、半個室24席と丁度良い広さ。隣席が気にならないよう配置されている。
平日のオフィス街という事もあり、開店時間の11時に入店し一番客。一人で4人席を使わせてもらう。
接客は素晴らしく、食前に冷たいほうじ茶、食後には温かい岐阜・白川の煎茶が出される。
退店時には、明るく愛想の良い店員さんが店の外にまで出て見送りをしてくれた。

【値段】

うな丼上 5150円(税込)
(直近訪問日 2023.8.30)

【おすすめ度】
★★★★☆





2023年8月27日日曜日

成毛家

【場所】
千葉県成田市幸町395

【味】
タレ焼と白焼の蒲焼を同時に楽しめる成田初の元祖あいのせうな重が看板メニューのお店。
身はやや硬めで弾力が感じられるが、口に入れればふんわりと口溶けは良い。タレ焼は辛口の醤油が効いたワイルドな味付け。一方白焼は脂を適度に残しながらもあっさりと焼き上げられている。一度で二度美味しい蒲焼。

【お店】
成田山表参道を少し外れた西参道沿い。喧騒を離れ、広い店内でゆったりと食事ができる。一階にテーブルと小上がり席、二階には60畳の大広間を擁する。隣は旅館の成毛家。
うな重を中心におでんや蕎麦、各種丼物も扱う。
創業150年のこの老舗は、現在の成田市長 小泉一成さんの御実家とのこと。店員さんが皆親切で感じが良いのもうなずける。

【値段】

あいのせうな重 3800円(税込)
(直近訪問日 2023.8.27)

【おすすめ度】
★★★☆☆